U-NEXTはレアな”ゲイ関連映画”を見放題できる宝庫だった その1

Netflix、Amazonプライムビデオ、ディズニープラス、U-NEXTなどサブスク配信プラットフォームが増えたことで、日本で見られるコンテンツも激増。その中でも旧作の”ゲイ関連映画”見放題の宝庫がU-NEXTだ。

大量のコンテンツの中から、ゲイが関連する映画を厳選して紹介する企画。今回は、現在U-NEXTで見放題できるレアな”ゲイ関連映画”の第一弾。

Netflixでじっくり見たい”ゲイ関連映画”カタログ その1

U-NEXT ゲイ映画
『フローレス』

紹介作品

『フローレス』
フィリップ・シーモア・ホフマンとデ・ニーロの演技バトル

『恋愛小説家』
ゲイと絡むと引き立つジャック・ニコルソンの可愛さ

『ザ・メキシカン』
ジェームズ・ガンドルフィーニが演じる心優しき殺し屋

『シークレット・ロード』
最晩年のロビン・ウィリアムズが既婚ゲイを熱演

『恋するリベラーチェ』
マイケル・ダグラスとマット・デイモンの胸焼けオネエ合戦

名優たちの演技バトルに酔える”ゲイ関連映画”

U-NEXT ゲイ映画
『恋愛小説家』

今回紹介する5本は、いずれも名優と呼ばれる役者たちの演技バトルが楽しめる作品ばかりを厳選。最近のトレンドである、ゲイがゲイ役を演じるのではなく、ノンケ俳優がゲイ役を演じて説得力のある演技を見せる作品ばかりだ。

あの俳優たちがどのようにゲイを演じて見せたのか、という観点でも、名優同士が見せるバチバチの演技合戦を堪能する、という観点からも楽しんでもらえるはずだ。

フィリップ・S・ホフマンとデ・ニーロの演技バトル

U-NEXT ゲイ映画
(左)フィリップ・シーモア・ホフマン(右)ロバート・デ・ニーロ 『フローレス』

オープンリーゲイであるジョエル・シュマッカー監督・脚本の1999年の作品『フローレス』は、保守的な元警官のロバート・デ・ニーロと、同じアパートに住むドラァグ・クイーンのフィリップ・シーモア・ホフマンを軸とした物語。

マッチョで保守的なデ・ニーロは、露悪的で騒がしいドラァグ・クイーンたちを毛嫌いしている。ところが同じアパートで銃撃事件が起き、その現場に向かおうとしたデ・ニーロは脳卒中を起こしてしまう。麻痺が残った体のリハビリのために、ホフマンに歌を習うことになるのだが。

仲間とバスケットボールに興じ、ビシっと決めてタンゴを踊ってみせたりと精力的で健康な姿から一転、脳卒中で麻痺してまともに喋れない、歩けない状態に。そこからリハビリで少しずつ回復していく様を的確に演じてみせるデ・ニーロ。対するホフマンは、露悪的で賑やかな面と、うちに抱えたどうしようもないマイノリティの孤独を見事に表現。

この2人の演技バトルを楽しむだけで時間が過ぎていってしまうのだが、ゲイ・コミュニティ内のリベラル派と保守派の諍いなども描かれているのは、さすがゲイのジョエル・シュマッカー監督だけある。

日本では公開規模も小さかったため、知る人が少ない存在であるのがもったいない一本だ。

U-NEXT ゲイ映画
『フローレス』

フローレス
監督・脚本:ジョエル・シュマッカー
出演:ロバート・デ・ニーロ、フィリップ・シーモア・ホフマン、バリー・ミラー ほか
U-NEXT

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『フローレス』

ゲイと絡むと引き立つジャック・ニコルソンの可愛さ

U-NEXT ゲイ映画
グレッグ・キニア 『恋愛小説家』

1997年公開の『恋愛小説家』は、主演のジャック・ニコルソンとヘレン・ハントがアカデミー主演男優・女優賞を受賞したという、まさに名優たちの演技を堪能できる映画だ。

マンハッタンの高級アパートで暮らす恋愛小説のベストセラー作家(ジャック・ニコルソン)は、強迫性障害の潔癖症であり人に対して毒舌を吐き続けるという孤高の中年男。同じフロアーに住むゲイの画家(グレッグ・キニア)とは犬猿の仲だ。潔癖症の作家が唯一好んで外食に行くレストランのウェイトレス(ヘレン・ハント)を、密かに気に入っている。

ひょんなことからゲイの画家と交流を深めることになる作家が、ウェイトレスに対して抱いている好意ともきちんと向き合い、自分の生き方を変えようともがき始める。家族との確執という闇を抱えるゲイの画家とその愛犬と絡み始めることで、どんどん可愛さが強調されていくジャック・ニコルソンから目が離せない。

繊細なタイプのゲイを演じるグレッグ・キニアも、主演2人に負けない好演。1950年代のハリウッド恋愛映画を思わせるクラシックな演出も楽しい。

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『恋愛小説家』

『恋愛小説家』
監督:ジェームズ・L・ブルックス
出演:ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント、グレッグ・キニア ほか
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『恋愛小説家』

ジェームズ・ガンドルフィーニが心優しき殺し屋に

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(左)ジェームズ・ガンドルフィーニ(右)ジュリア・ロバーツ 『ザ・メキシカン』

2001年の映画『ザ・メキシカン』は、ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの恋愛映画かと思いきや、かなり前半で2人は別行動となり、ジュリア・ロバーツとゲイの殺し屋のロード・ムービーと化していく予想外の展開を見せる。

犯罪組織のチンピラであるジュリー(ブラッド・ピット)は、メキシコに行き伝説の銃を手に入れてこいと命じられる。ジュリーが銃を持ち逃げしないようにと、恋人のサマンサ(ジュリア・ロバーツ)は殺し屋リロイ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)に人質にされる。

最初は恐怖でパニックになるサマンサだが、リロイがゲイだと気づいてからは2人の間に奇妙の友情が芽生えていく。殺し屋という職業ゆえに誰かを愛することに臆病になっているリロイの尻を叩くサマンサは、キューピッド役として男との出会いに手を貸す。

強面な殺し屋ジェームズ・ガンドルフィーニが見せる、恋には臆病な素顔の可愛さに”ギャップ萌え”すること必至。ジュリーの物語はどうでもよくなり、サマンサとリロイの道中をずっと見ていたくなるほどだ。

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『ザ・メキシカン』

『ザ・メキシカン』
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、ジェームズ・ガンドルフィーニ ほか
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『ザ・メキシカン』

最晩年のロビン・ウィリアムズが既婚ゲイを熱演

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『シークレット・ロード』

2014年に63歳で亡くなったロビン・ウィリアムズ主演で、同じく2014年公開の映画『シークレット・ロード』。最後に全米公開されたロビン・ウィリアムズ主演映画でもある。

米国の地方で真面目に仕事をする勤続26年めの銀行員ノーラン(ロビン・ウィリアムズ)、妻ジョイ(キャシー・ベイカー)との間に子供はいないものの、特に波風の立たない暮らしが続いていた。ただし、寝室は別だ。

表向きはノンケとして生きているノーランだが、時折、夜にダウンタウンの大通りに車で向かい、そこで客待ちをする男娼を眺めることでゲイである自分を満足させようとしていた。ところがある夜、一人の若い男娼レオ(ロベルト・アギーレ)を轢きかけたことから2人の交流が始まる。

とはいえ、ノーランは肉体関係を持つわけではないのだが、会うたびに金を渡していた。26年も続いた「凪(なぎ)」のようなノーランの生活が、レオとの関わりで少しずつ破綻し始めていく。

クローゼットな既婚ゲイを演じるロビン・ウィリアムズの、何かを諦めたような笑顔の仮面や、初めての恋の喜びにときめく表情などの演じ分けが巧み。キャリアの最晩年に遺した、地味だけれど見応えのある一本。

U-NEXT ゲイ映画
(左)キャシー・ベイカー(右)ロビン・ウィリアムズ 『シークレット・ロード』

『シークレット・ロード』
監督:ディート・モンティエル
出演:ロビン・ウィリアムズ、キャシー・ベイカー、ロベルト・アギーレ ほか
U-NEXT

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『シークレット・ロード』

ダグラスとデイモンの胸焼けオネエ合戦

U-NEXT ゲイ映画
(左)マイケル・ダグラス(右)マット・デイモン 『恋するリベラーチェ』

2013年の映画『恋するリベラーチェ』は、1960年代から80年代にかけて世界で活躍したピアニスト”リベラーチェ”の最後の10年間を描いた映画。原作は、リベラーチェの恋人だったスコット・ソーソンが1988年に出版した回顧録だ。

ピアノのテクニックが巧みであることに加え、リベラーチェの人気を支えたのは、そのゴージャスな衣装。往年の美川憲一が紅白歌合戦で着用していたような衣装がトレード・マークだ。リベラーチェの好みや生活や性格は、虚栄に満ちた昭和のオネエの典型のよう。

そんなリベラーチェを、マッチョで男性的なイメージが強いマイケル・ダグラスが見事に演じる。そして若き恋人スコット・ソーソンを、こちらもマッチョなイメージのマット・デイモンが演じる。

最初は素朴な雰囲気のある爽やかな青年ソーソンが、リベラーチェと付き合い始めることでどんどん虚栄を身につけ、性格が歪んでいく。胸焼けするくらいの破滅的なオネエ合戦を繰り広げるリベラーチェとソーソンの行き着く先は。

リベラーチェの華やかな衣装とは裏腹に、描かれる物語はかなり「鬱」でダークな面が多いので、その点は覚悟して見る方がよさそうだ。

U-NEXT ゲイ映画
『恋するリベラーチェ』

『恋するリベラーチェ』
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス、マット・デイモン、ダン・エイクロイド ほか
U-NEXT

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『恋するリベラーチェ』

U-NEXTは、他にも大量の”ゲイ関連映画”を配信している。キーワード「ゲイ」で検索しても引っかかってこないので、知っている映画を検索して表示される「おすすめ」から辿っていくと、色々な作品を掘ることができる。まるで宝探しをしているような楽しさを感じるかもしれない。

(冨田格)

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