「ゲイとサル痘」ついに日本上陸!パニックになる前に必読の基礎知識
7月25日、日テレニュースは「国内初「サル痘」の感染者を確認 都内在住30代男性」と報じた。欧米を中心に世界各国に感染が拡大しているサル痘が、ついに日本にも上陸した。今後、他国のように感染が拡大することは十分に予想される。
ジオ倶楽部では5月以降、サル痘に関する最新情報を公開し続けてきた。ゲイ・バイ男性を中心に感染拡大していることで、不安になっている人も多いと思われるので、ジオ倶楽部が公開してきた記事の中から、「知っておくべき基礎知識」をまとめた。
※引用部分にはジオ倶楽部の元記事のURLを記載。元記事には各項目の引用元のURLを記載してあるので、より詳しく知りたい人はリンクを辿って確認してほしい。
目次
ゲイ・バイ男性特有の性病ではない
まずは大前提。欧米を中心に感染拡大するサル痘の陽性者の大半がゲイ・バイ男性であることから、ゲイ・バイ男性特有の性病であると勘違いしている人もいるかもしれない。しかし、サル痘は性病ではなく、誰もが感染する可能性がある感染症だ。
サル痘の潜伏期間と症状
サル痘とは、どのような病気なのだろうか。
サル痘は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2-4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。
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では、症状はどのようなものだろうか。
・潜伏期間は5~21日(通常7~14日)
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・潜伏期間後は、発熱・頭痛・リンパ節腫脹・筋肉痛などが1~5日続く
(※腫脹=炎症が原因ではれあがること)
・その後、発疹が出現する
・発疹は顔から始まる例が多く、体幹部へと広がる
・最初は平たいが、徐々に水疱、膿疱化し膨れていく。
・発症から2~4週間で発疹が乾き、かさぶたとなって落ち、人に感染させる可能性はなくなる
以上が、国立感染症研究所のサイトで「サル痘」についてまとめられている内容だ。しかし、現在欧米で感染拡大しているものの中には、上記にはあてはまらない症状を示す例もある。
通常、サル痘では全身に発疹がみられるとされていましたが、今回のアウトブレイクでは性器や肛門周辺にのみ発疹がみられた事例(※実際の病変を含むリンクですのでご注意ください)も報告されています。
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WHOによると、今回の流行ではサル痘の典型的な症状を示さない感染者が多いという。発疹の数が数個、人によっては1個だけと少なかったり、発熱などの症状が発疹の後に出たりしている。
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患者は全て成人で(平均年齢40歳、範囲28~61歳)、全員に発疹が認められた。発疹は、4人で陰部、5人で肛門周辺から始まっていた。最終的に口腔にまで発疹が現れた患者も5人いた。
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発熱の後に、顔から発疹が始まるという一般的な症状を示さない例もあるということは、本人がサル痘である自覚がないまま、普通に生活し、他人と接触し、性交渉する可能性もあるということだ。これは、感染が急拡大している理由のひとつかもしれない。
サル痘はどうやって感染するのか?
では、サル痘はどうやって感染するのだろうか。
・患部の膿との直接接触
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・感染者の衣服との接触
・タオルやシーツなどリネン類の共有
・呼吸器飛沫の吸入
・今回の流行では、皮膚同士が接触する可能性の高い性的接触が感染経路のひとつとなっている
直接の皮膚の接触だけじゃなく、タオルやシーツの共有でも感染する可能性が高いというのは、ハッテン場が好きなゲイは抑えておきたい点だ。
サル痘のワクチンは?
サル痘の治療薬はまだないが、ワクチンが有効だと考えられている。
米食品医薬品局(FDA)は2019年にデンマークのバイオ製薬ババリアン・ノルディックの天然痘・サル痘ワクチン「MVA-BN」(米国での販売名はジンネオス)を承認した。このワクチンを2回接種すれば、サル痘の発症や重症化を防ぐことができる。天然痘ワクチンとしてFDAに承認されている「ACAM2000」も使用が可能だ。
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国立感染症研究所で長年サル痘ウイルスの研究を続けてきた西條政幸・札幌市保健所医療政策部長はこう語る。
感染が分かった人の濃厚接触者に、可能な限り早くワクチンを接種することです。天然痘の場合もそうですが、すでに感染していても感染直後にワクチンを接種することで症状が軽く済むことが期待できます。感染者の周りの濃厚接触者にワクチンを接種していく方法は「リングワクチネーション」と呼ばれ、天然痘の撲滅のときに使われた手法です。
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天然痘ワクチンは、サル痘に対しても有効なようだ。1976年まで日本で実施されていた天然痘ワクチンの予防接種「種痘」を受けている世代について、西條政幸氏はこう語る。
効果は持続し、ワクチンを打っている人はウイルスに感染してもサル痘を発症しないと考えられます。仮に発症したとしても症状は軽くなるはずです。ワクチンを受けている人から感染が広がるリスクも極めて低いと考えられます。
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ワクチンが存在するというのは、安心できる材料ではあるのだが、現在感染が急拡大している米国では、ワクチンの供給量が需要に追いつかない状態になっているという報告もある。
ニューヨークとサンフランシスコでは、サル痘ワクチンの需要がプロバイダーの供給量を上回っている。ロサンゼルスでは、公衆衛生局が、既知の感染者またはその危険性が高い人にのみ、招待制でワクチンを提供している。
連邦政府は、年内に160万回分以上のサル痘ワクチン「ジンネオス」を供給する予定だが、需要が高く、6月に供給した5万6000回分はほぼすべて使用されている。
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日本ではテロに備える意味で天然痘ワクチンを貯蔵しているのだが、
天然痘のワクチンである痘そうワクチンがサル痘にも有効である。感染数日以内ならば治療的に使用しても効果が認められると考えられる。しかし、痘そうワクチンは市販されていないためサル痘の予防用としての適用はない。
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という状況だ。
山際大志郎経済再生担当相は24日のNHK番組で、欧米を中心に感染が拡大している動物由来のウイルス感染症「サル痘」について「政府として適切に対応したい」と述べ、近く会議を開いて対応を議論する考えを示した。
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早急に日本での対応策を決定してほしいところだ。
CDCが発表したゲイ向けのサル痘予防マニュアル
7月11日にCDC(アメリカ疾病対策予防センター)が、ゲイ・バイ男性に向けて発表した「サル痘予防マニュアル」の内容を紹介しよう。
ゲイ・バイ男性間での感染経路として考えられるのは下記だ。
オーラルセックス、アナルセックス、膣セックス、またはサル痘患者の性器(陰茎、睾丸、陰唇、膣)または肛門に触れること。ハグ、マッサージ、および長時間の対面での接触。
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また、性的な場面で注意すべきことは、まずはパートナーとお互いの体や陰部に新しい発疹や原因不明の発疹がないか確認すること。もし新しい発疹や原因不明の発疹を見つけたら、性的交渉はしないで、病院を受診するようにしたい。
次に、サル痘に感染した場合の注意点。
自分自身やパートナーがサル痘にかかった場合、自分や他の人を守る最善の方法は、あらゆる種類のセックス(経口、肛門、膣)を避け、病気の間はキスやお互いの体(特に発疹)に触れないようにすることです。タオル、フェティッシュな道具、セックスのおもちゃ、歯ブラシといったものを共有しないようにしましょう。
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さらにこのマニュアルではセーファーセックスの方法にも踏み込んで紹介している。
もっとも安全だと考えられるのは、直接接触しないバーチャルなセックス。スマホやPCなどを使いインターネット経由でのバーチャルなセックスならば、接触する可能性はない。また「少なくとも6フィート(約3メートル)」離れて、お互いを見ながらオナニーすることも接触しない方法として推奨されている。
衣服を着たまま、あるいは発疹のある部分を覆って、できるだけ肌と肌の接触を減らしてセックスをすることを考える。発疹が性器や肛門に限定している場合は、コンドームを使用するとよいでしょう。しかし、コンドームだけではサル痘の予防にはならない可能性が高いです。
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そして、重要なことはこれだ。
複数のセックスパートナーや匿名のセックスパートナーがいると、サル痘に感染する可能性が高くなります。セックスパートナーの数を制限することで、曝露の可能性を低くすることができます。
サウナ、セックスクラブ、私的および公的なセックスパーティーなど、複数のパートナーとの親密でしばしば匿名での性的接触を行う閉鎖的な空間では、サル痘が広がる可能性が高くなる場合があります。
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ゲイ・バイ男性がサル痘に注意するべき理由
最後に、なぜゲイ・バイ男性にとってサル痘が脅威であるのかを解説する。
■現在はゲイ・バイ男性を中心に広がっていること
5月にスペインのカナリア諸島で開催されたプライド・イベントや、スペインのハッテン場、そして5月にベルギーで開催されたレザーゲイが集まるフェチ・イベントなどの参加者・利用者からサル痘を発症した人が多く見つかったこと。
そして、以降、欧米のゲイ・バイ男性を中心に感染拡大しているために「サル痘=ゲイ・バイ」というイメージがすでに定着している。
■顔にも発疹が出るので、歩くカミングアウト状態
サル痘特有の発疹は顔や腕など人から見える部分に出る場合が多く、そうなると隠すことは難しい。
■クローゼットは周囲にバレる
もし家族や友人、会社などでゲイであることを隠しているクローゼットな人の場合、サル痘を発症すると、ゲイ・バイだと周囲の人に思われる可能性が非常に高い。
■浮気で感染したら速攻バレる
もし恋人や、既婚ゲイ・バイの場合は配偶者に隠れてこっそり浮気をして感染・発症した場合、まず100%の確率で浮気がバレてしまい、自主隔離に加えて精神的にも針のむしろ状態になる可能性が非常に高い。
また、既婚ゲイ・バイ男性の場合、自分が感染したことに気がつかないまま、タオルやシーツなどを家族と共有することで家庭内感染を引き起こす可能性もあることは留意しておくべきだ。
■長期の自主隔離で社会生活に影響
サル痘を発症して、発疹がかさぶたになって落ちるまで2~4週間の自主隔離をせざるを得なくなった場合、誰もが感染する可能性があるコロナと違い、会社や学校など周囲からは厳しい・冷たい視線を浴びせられる可能性が非常に高い。
ゲイ・バイ男性特有の病気・性病ではないにも関わらず、現在はゲイ・バイ男性の性的接触によって感染拡大しているために、日本のゲイにとってもヤバい感染症だと認識しておくことが必要だ。
日本上陸したことで、サル痘はもはや対岸の火事ではない。くれぐれも感染しないよう、注意をしてほしい。これからもジオ倶楽部では、サル痘に関する最新情報を紹介していく。
(冨田格)
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