「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべきか」論争にルーク・エヴァンスが言及した

「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべき」このところよく耳にするこの議論に、ハリウッドのオープンリーゲイ俳優としてトップクラスにいるルーク・エヴァンスはどう考えているのだろうか。ニコール・キッドマンとのデュエットが話題の、エヴァンスのニューアルバムとともに紹介する。

ゲイの役はゲイ俳優が演じるべきなのか?

ニューアルバム『A Song For You』

「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべき」論争がこの数年巻き起こったことは、映画やドラマのキャスティングに影響を及ぼしている。

たとえばNetflixは近年のオリジナル作品では、ゲイの役にカミングアウトしているゲイの俳優をキャスティングすることが当たり前になっている。また9月には、カミングアウトしているゲイ俳優を起用して制作したハリウッドのメジャー・スタジオ初のゲイのロマンティック・コメディ映画「BROS」が公開された。

ルーク・エヴァンス

「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべき」は一見、正論のように思えるのだが、ゲイ役が増える割に知名度がある、つまりスタジオ側が起用したいゲイ俳優の人数が限られているので、同じ顔ぶれが並ぶことになるという弊害も出始めているようだ。

また、メジャー・スタジオ初のゲイのロマンティック・コメディ映画として事前の注目度が高く、また作品的評価も悪くないにも関わらず「BROS」の興行収入は、予想をはるかに下回ってしまった。

ノンケの役でキャリアを築いてきた

ルーク・エヴァンスは、カミングアウトしているゲイ俳優のなかでもっとも実力と人気を兼ね備えている一人であることに異論を持つ人はいないだろう。

エヴァンスが「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべき」論争に対して、どんな考えを抱いているのかをQUEERTYの記事「Luke Evans enters the chat about straight actors doing “gay-for-pay” roles」より引用する。

エヴァンスは、脚本家でプロデューサーのラッセル・T・デイヴィスが「ゲイの役はゲイだけが演じるべきだと」と発言したことに対して「それはどうでしょう」と答えた。

「ゲイの俳優たちは、確かにゲイの役を取り逃がしたことがあります。ラッセルはこの点について、とても力強く、情熱的に語ってくれました。私はそれを理解し、物事は変化する必要があると考えています。

しかし、私の観点から言うと、まず、ゲイの人がゲイの役だけを演じ、ストレートの人がストレートの役だけを演じていたら、私は今までのキャリアを積めませんでした。私が演じてきた36の役のうち、ゲイの役は2つしかなかったのですから。

才能と能力、そして運とタイミング……それが、仕事を得る理由であり、それ以外のことは関係ないはずです」

とエヴァンスは語った。

https://www.queerty.com/luke-evans-enters-chat-straight-actors-gay-pay-roles-20221104

ニコール・キッドマンとの関係

ルーク・エヴァンス
ニューアルバム『A Song For You』

11月4日、エヴァンスはカバー曲を集めたアルバム『A Song for You』をリリースした。

「マイウェイ」「明日にかける橋」「虹の彼方に」「ラスト・クリスマス」ジョシュ・グローバンの「ユー・レイズ・ミー・アップ」など、スタンダードナンバーから比較的最近の曲まで、エヴァンスが魅力的な声で歌い上げるアルバムだ。

なかでも注目を集めているのが、クリスティーナ・アギレラを起用したア・グレイト・ビッグ・ワールドの大ヒット曲「セイ・サムシング」を、ニコール・キッドマンとデュエットしていることだ。

奇跡のデュエットが実現した経緯をinstinctの記事「Luke Evans Talks All About His “Say Something” Duet with Nicole Kidman」より引用する。

エヴァンスとキッドマンは、Huluの2021年ドラマシリーズ「ナイン・パーフェクト・ストレンジャーズ」の撮影中に、お互いの音楽好きが高じてすぐに仲良くなったそうだ。そして、キッドマンは夫のキース・アーバンとのシドニーでのディナー・パーティーにエヴァンスを招いた。

「ディナーの後、ニコールはこう言ったんだ。『キースがピアノを弾くから歌ってほしい。彼は何でも弾けるから、曲を教えてあげて』って。それで、みんながリビングルームのグランドピアノを囲んで、私はアデルの『メイク・ユー・フィール・マイ・ラブ』を歌ったんだ。ニコールも歌うのが好きで、彼女も参加してデュエットした」

この体験が素晴らしかったので、エヴァンスはまたキッドマンと歌いたいと願い「セイ・サムシング」のトラックを彼女に送った。

「あの曲はすでに頭の中にあったんだ、ニコールの声にとても合うと思ったから、僕らの声をブレンドできるってね。それでトラックを送ったら、キースは『天才だ、これ以上のトラックは思いつかない』って言ってくれたよ

アーバンは、キッドマンがブースでレコーディングしている様子を撮影したショート動画を送ってくれた。彼女はその一瞬一瞬をとても楽しんでいるようだった」

最後にエヴァンスはこう語った。

「どんなに感謝しているかわからない。彼女は素敵な女性で、大切な友人で、友人のために時間を使うことをまったく惜しまない。彼女のおかげで、本当に特別なことが実現できたんだ」

https://instinctmagazine.com/luke-evans-talks-all-about-his-say-something-duet-with-nicole-kidman/
ルーク・エヴァンス
2019年リリースのアルバム『At Last』

エヴァンスの『A Song for You』は各音楽配信サイトで聞くことができる。秋の夜長から冬場にしっくりくる落ち着いた大人のアルバムになっている。エヴァンスの美声に酔いしれながら、酒でも傾けたら最高の夜を迎えることができそうだ。

(冨田格)

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