「サル痘は激痛」死なないからと甘くみたら酷い目に遭うNYゲイの体験談

日本で感染報告が為されてから、一気に「サル痘」関連のニュースが溢れ出している。しかし、気になることがある。発熱とか発疹とか、2~4週間で自然治癒する、ということばかり報じられているけれど、実際に感染したらどんな感覚があるのかが分からない。

サル痘に感染したニューヨーカーのゲイの体験談が一部で話題を呼んでいる。サル痘は激痛で、地獄の苦しみだったようだ。

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典型的なサル痘の症状は

サル痘は激痛
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「サル痘」に感染して発症したらどうなるのか。まずは、今報じられていることを国立感染症研究所のサイトから引用する。

・潜伏期間は5~21日(通常7~14日)
・潜伏期間後は、発熱・頭痛・リンパ節腫脹・筋肉痛などが1~5日続く
(※腫脹=炎症が原因ではれあがること)
・その後、発疹が出現する
・発疹は顔から始まる例が多く、体幹部へと広がる
・最初は平たいが、徐々に水疱、膿疱化し膨れていく。
・発症から2~4週間で発疹が乾き、かさぶたとなって落ちる。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

発熱から発疹が出ること、そして2~4週間で自然治癒することは分かる。致死率は非常に低いということも盛んに報じられているので、楽観視している人もいるかもしれない。

しかし、サル痘に感染したゲイの体験談を読むと、楽観視できるものではないと気づくはずだ。

NYゲイの青年がサル痘を発症したら

サル痘は激痛
カイル・プランク氏 — photographed in New York on July 19, 2022 — recently recovered from the monkeypox virus Yuki IWAMURA AFP

FRANCE24が、7月21日に「‘Severe’ pain: a New Yorker’s experience of monkeypox(激痛:ニューヨーカーのサル痘体験談)」という記事を公開した。

これは、ニューヨーク在住のカイル・プランク氏(26歳)のサル痘体験談だ。

最初にカイル氏が体の異変に気づいたのは6月末のこと。

非常に気分が悪くなり始めカイル氏。発熱とリンパ節の腫れがあり、コロナの抗原検査が陰性だったことから、「サル痘」に感染したかもしれないと考えた。そして、発熱から4日後、「サル痘」であることを疑う余地もないほどの斑点に襲われた。

「最初は腕や手から始まり、1日で全身に広がりました。その時点で約30の病変が発生していました」

https://www.france24.com/en/live-news/20220721-severe-pain-a-new-yorker-s-experience-of-monkeypox

ゲイで、薬理学の博士号候補でもあるカイル氏は、発症後に医学界に近い場所にいたことで抗ウイルス剤の治験に参加することができたというが、それまでの間は相当辛い痛みに耐えねばならなかったようだ。

7月5日に検査を受け、翌日からTPOXX(Tecovirimat)という抗ウイルス剤で治療を始めた。この薬はもともと人間の天然痘に使われていたものだが、サル痘の試験で認可されていた。医学界に近いカイル氏は、治験への参加に有利に働いたと認めている。

「しかし、ニューヨークの多くの人々にとっては、それが現実でないことは分かっていますし、本当に残念なことです」

https://www.france24.com/en/live-news/20220721-severe-pain-a-new-yorker-s-experience-of-monkeypox

問題は、薬の効果が現れるまでの間、激痛に襲われていたことだという。

薬で症状が緩和されるまでの1週間、特に粘膜の病変による激痛に悩まされた。

「痛みがあまりにひどいので、1日に6~7回、温かいお風呂に入っていました」

カイル氏は、自分の場合は治療を受けることができたのでこれでも「比較的軽度」であり、「多くの人がもっとひどい目に遭っている」と考えている。

https://www.france24.com/en/live-news/20220721-severe-pain-a-new-yorker-s-experience-of-monkeypox

治験に参加することができたので、1週間程度で激痛を緩和させることができたのはよかったが、現在日本ではサル痘に効果があるかもしれない抗ウイルス剤の治験は行われていない。

死ななくても苦しい病気

サル痘は激痛
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海外のサル痘関連の記事をいろいろと当たっていると、今回の流行では典型的な症状を見せない例も少なくないことに気がつく。

たとえば、発熱よりも先に発疹が現れるとか、顔や体幹部ではなく局部やアナル周辺にだけ発疹が現れるなども報告されている。

全身に発疹が広がり激痛に襲われない人もいるかもしれない。しかし、もしカイル氏と同じような症状になった場合は、自宅で自然治癒するまで激痛に耐えなければいけない可能性もある。

「サル痘にかかっても死ぬわけじゃないし」などと甘く考えて無防備に人と接触したり、不特定多数との性行為を続けていると、感染して地獄の苦しみに襲われるかもしれないことは、頭に入れておきたい。

ジオ倶楽部ではこれからも継続して「サル痘」の情報を発信していく。

(冨田格)

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